愛の進化論(PART 4 OF 4)
愛の進化論(PART 4 OF 4)
私は学友にどう思われていたかわからないが、ある女の子から思わせぶりな態度を示された。 彼女も生物学に関心があって、私はすっかりのぼせあがる。 彼女は私のほかの男の子とこんなふうに比べた。 ひとりはブロンドで、笑わせてくれる。 その子は昼だと言う。 もうひとりは顔が浅黒くて、つっぱり屋。 その子は夜だ。 「それでね、デイヴィッド、あなたは夕方よ」と言って、彼女は自分の気のきいたたとえを笑った。
最高学年になり、アイビー・リーグの名門大学数校に出願したが軒並み断られ、がっくりきた。 結局、滑り止めと思っていたロチェスター大学に入学する。
(中略)
ひどく孤独で、ついにメアリーという女の子と図書館で会う約束を取りつけたときには、腹ペコのオオカミがウサギを追って突進するように追いかけた。 メアリーは夜間の講座を受ける学外の人間で、すでに彼氏がいたが、そんなことでひるむような私ではない。 ある春の日、メアリーが彼氏と車で遠出しようとしていた。 私は満開の花をつけたライラックの木から枝を一本丸ごと切り取り、車の後部座席に投げ入れた。
あとで彼女が語ったところによると、それは熱烈な行為で、ライラックのうきうきするような香りが車内に立ちこめた。 ついにメアリーの心をつかんだのだ。
(中略)
7月末にアルバイトが終わると、メアリーを父と父の二番目の妻べティーに紹介した。 父とべティーはジョージ湖に避暑に来ていた。 二人の人間がメアリーと父みたいにあっというまに嫌い合うのを、私は見たことがない。 メアリーは煙草を吸い、父はパイプのほかにときどき葉巻をふかした。 初対面のときに父は葉巻に火をつけ、メアリーはたぶんへたな冗談のつもりでこう言った。 「葉巻なんて大嫌い---大きいペニスの象徴でしかないわ」。 父にそんなことを言うものではない。 父は憎々しげにほほえみ、言い返した。 「ほう、煙草が小さなペニスの象徴でなくて、何だっていうのかね」
人生はピンボールのごとしというたとえはまだ続き、それから数日のあいだ、 私は電気仕掛けのスティックでひっぱたかれる銀色の玉になった気がした。 まさしく父とメアリーのあいだを行ったり来たりしたのは、ふたりがたがいを避けていたからだ。 何とかしなければならず、私とメアリーはジョージ湖で八月を過ごすのをやめ、愛する「父よけ」カヤックに乗りこみ、650キロを漕いで大学に帰った。
(中略)
メアリーとの関係はだんだん悪化していったが、どんな人間関係でも努力すればうまくいくというのが私の信念だった。 電話で長々と話し、話しているうちにメアリーはどんどん機嫌が悪くなっていく。 ラヴェルの「ボレロ」の音がだんだん大きくなっていくのに似ていた。 それから、ある種の精神浄化作用が行われたかのように、機嫌を直して電話を切る。 私は疲れ果てる。 ルームメイトはユーモアに富む大らかな男で、電話を立ち聞きして、ついにこんな忠告をしてくれた。
「デイヴィッド、関係を続けようとする努力には感心するよ。 サーカスで頭の上にゾウをのっける怪力男みたいだ。 でもな、ゾウは君の頭でクソしてるんだぞ」。
悲しいかな、こんなにわかりやすい分析をしてもらっても、人間関係はその気になりさえすれば維持できるという信念は変わらなかった。
(中略)
メアリーとの関係は日に日に、ますます努力を要するようになっていったが、それでも私たちは結婚することにした。 私が大学を卒業した週に大学の教会で式を挙げ、家族全員がつとめて平静を装って出席した。 父も例外でない。
(中略)
メアリーはスパルタン・ヴィレッジですることがまったくなく、結局、Kマートで店員の仕事を見つけた。 私は夕方に迎えに行き、翌日の昼食にする湿ったサブマリンサンドを特売価格で買う。 メアリーはカメラ売り場に配属され、写真に興味を持った。 最初はほんの趣味程度だったが、やがて求人広告を見て、小さな広告会社の仕事にありついた。 自分を伸ばせる世界がここにあったのだ。 一年とたたないうちに、かろうじてふたりをつないでいたぼろぼろの綱がぷつんとちぎれ、私たちは離婚手続きを申請した。 メアリーは、その後、本職の写真家として成功する。 べつべつの道を歩くことになって私はほっとしたが、大学院の友人が何人かいるだけで孤独だった。 どうすればいいのだろう---飲み屋で女性に近づいて「やあ、ぼくデイヴィッド。 暇なときはいつも動物プランクトンを研究してるんだ」とでも言えばいいのか。 私はいつまでたっても女性の目から見て“夕方”のような気がしていたが、とぼとぼ歩き続けることしかできなかった。
(注: イラストと写真はデンマンが貼り付けました。)
(381-389ページ) 『みんなの進化論』
(Evolution for Everyone)
2009(平成21)年4月25日 第1刷発行
著者: デイヴィッド・スローン・ウィルソン
(David Sloan Wilson)
訳者: 中尾ゆかり 発行所: 日本放送出版協会
このおっちゃんは、メアリーさんとあれだけ一緒になろうと努力したにもかかわらず、結局別れてしまいはったのねぇ。
そうなのやァ。 頭の上でゾウにクソまでされたのにもかかわらず結婚したのに、別れてしもうた。 うししししし。。。でもなァ、これも進化論の立場から見れば“環境に適応した離婚”だったのや。
マジで。。。?
あのなァ~、このおっちゃんが言うてることなのやけど、甘く切ない恋心も進化論の立場で見ると、生存と繁殖という究極の目的のために奉仕する、と言うのや。
つまり、人生とは生き延びるために食べ、子孫を残すために子どもを作ることだと。。。?
そうなのや。 充分な食料を確保し、快適に暮らし、好ましい結婚相手を見つけ、子どもを立派に育てたいと願う。 これは、進化論に従うと、とりもなおさず“生存と繁殖”のためだと言うのや。
。。。で、本を書いたおっちゃんは、その後、どうしやはったん?
現在の奥さんは、メアリーさんと離婚した後で見つけたアンという、このおっちゃんと同じように生物学の研究者なのや。 二人の間には娘さんが二人生まれて、今では立派に大きくなって幸せに暮らしているそうや。
つまり、“愛の進化論”に従うと、メアリーさんと離婚したのは、不幸ではなくて、より好ましい相手を見つけるための幸福なワンステップやったと、あんさんは言わはるの?
そうやァ。。。つまり、“環境に適応した離婚”やったのやがなァ。 愛の進化の前段階やったのやァ。
【レンゲの独り言】
ですってぇ~。。。
あなたは、デンマンさんが言う“愛の進化論”を信じますか?
本を書いたおっちゃんは、メアリーさんとの離婚話は書いているようですけれど、“愛の進化論”はデンマンさんが主張しているだけのようですわ。
とにかく、あなたに何か反論があったら、ぜひコメントに書いてくださいね。
さらに興味深い話題が続くと思います。
あなたもどうか、またあさって読みに戻ってきてください。
では、また。。。
メチャ面白い、
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こんにちはジューンです。
私は進化論を素直に受け入れることができます。
でも、アメリカやカナダでは進化論を受け入れない人が
日本と比べると比較にならないほど多いのです。
どうして。。。?
なぜなら、人間はサルから別れて進化したのではなく、
人間は神によって創造されたと信じたい人たちが
たくさん居るからです。
つい最近のハリス世論調査ではアメリカ人の
54%が人間は類人猿から進化した種ではない。
そのように答えているのです。
わたしはキリスト教を信じる両親によって
育てられましたが、進化論の影響で
キリスト教と距離を置くようになりました。
ところで、卑弥子さんが面白いお話を集めて
楽しいサイトを作りました。
次のリンクをクリックして
ぜひ覗いてみてくださいね。
■ 『あなたのための笑って幸せになれるサイト』
とにかく、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょう。
じゃあね。バーィ
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